ピンクの振袖の思い出と今
2020年12月17日 16時33分
10年ほど前の話になります。
もう結婚をして振袖は着ることができなくなりましたが、レンタルではなく一式購入した為、今も実家で大切に保管してあります。
当時、私は成人式や振袖というものにあまり乗り気ではなく、兄弟はいるものの一人娘であり、孫の中でも女の子1人だけだったことから、
周りの大人達は良い振袖を買いなさいと私は促されるままに親と着物屋へ向かいました。
乗り気ではなかったはずがやはり実物を見てみると楽しいもので、沢山の色や柄を鏡で合わせている中で目に付いたのは、ピンク色が鮮やかな桜柄の振袖でした。
実際出席した成人式では黒がベースの振袖を着た友人もいて、それも恰好いいなと思いましたが、
あの鮮やかなピンクは若いからこそ着ることが出来た色だと今振り返るとそう思えます。
ピンクの振袖に落ち着きのあるゴールドの帯と萌黄色の帯締めは、何年も仕舞ったままで見ていないのに思い出せます。
成人式の前には写真館で前撮りをしに行きました。メイクは最寄りの美容室でやって貰いましたが、普段のメイクが濃くキツめだったのに対し、
あまり意見を求められずに色味の希望だけを聞かれたメイクは薄づきで、出来上がった3面の写真を見た時には取り直したいと強く思いました。
成人式の当日は早朝からヘアメイクや着付けの準備をしましたが、体型が細身だったこともありバスタオルを何枚も重ねて巻かれたことを覚えています。
普段着慣れない締めつけの強い着物は苦しく、歩幅も狭く動きにくかったのですが、どこかしゃんと身の締まる思いがありました。
会場へ向かうと小学校、中学校時代の懐かしい顔があり、大学生や専門学生、就職している人など、
同じ学校で同じような生活をしていた友人たちがそれぞれの道を歩んでいる事に感慨深さがありました。
私自身も地元から離れ所謂大学デビューを果たしていたタイプの人間だった為、なかなか気付かれなかったり変化に驚く反応に、
人って変われるものなんだなぁとぼんやり思った瞬間でした。
式を終えた後には同窓会が開かれましたが、流石に苦しいまま夜までと言うのには抵抗があったので、一旦自宅に戻ったあと親しい友人と会場へ向かい、
何年ぶりかの近況報告会となりました。
漫画や女性誌などで見るようなときめく出来事はまるで何もありませんでしたが、それでも非日常と言えるような思い出に残る1日となりました。
そして今思うのは、せっかく購入したこのピンクの振袖を、いつか自分の娘に譲り渡せたらなというところです。
残念ながらまだ娘はいないので、もう少し先の話となりそうです。